Blogizumiブログ
- 2019/11/04
- 食べもの
- フランス文化
- コラム
フレンチトーストの発祥はアメリカ?フランス?
Bonjour !
さぁ今日は「フレンチトースト」の話を少し。 実は、月2回配信の店舗メルマガの中で“続きはブログで”と書いたことから、きちんとアップしておきたいと思っての投稿です。
この話の発端は10月に開催したTable d’hôte「フランスの朝食」の中でバゲットついてご紹介した際、ご参加くださっていた皆さんとの会話の中で「フランチトーストはフランスでも食べるものですか?」という質問があったことがきっかけです。
日本で「フレンチトースト」と言えば、卵と牛乳と砂糖と混ぜた液体にパンを浸してバターで焼いたものを指しますよね。日本では食パンを使いますけど、フランスはバゲット。
フランスではフレンチトーストではなくPain perduと呼ぶのが主流です。
【 PAIN PERDU パン・ペルデュ(直訳したら「失ったパン」】
フランス語の意味は「固くなってダメになったパン」に由来した言葉で、固いパンに手を加えて復活させた食べ物や食べ方の総称としても使う言い方。
だからバゲットでも、ブリオッシュやクロワッサンでも「パン・ペルデュ」の材料となります。
一般に「パン・ペルデュ」と言ってフランス人の頭の中に浮かぶのは、牛乳と卵の浸みこませてバターでこんがり焼いたパン。そう、日本でいう「フレンチトースト」。
私は、今回の質問をきっかけに、パリでも気になった場面が頭に浮かんできました。それはもう10年以上前のことですが、マダムと過ごしていた週末のキッチンでの出来事。
私が、固くなったパンを見つけて「フレンチトーストを作って食べる?」と話しかけました。この時の私は「フレンチトースト」の部分は日本語で呼ぶように「英語のままフレンチトースト」という言い方でいったのですが、
「何?フランチトーストは、パン・ぺルデュのこと?」
とフランス流の名前に直されました。そこで「あぁそうか、フランスではPain perdu というのね」と教わった日。 この会話には続きがあって、
「日本ではフ~レンチトーストと呼ぶの?」とマダムから質問が飛んできました。 「なぜ英語でいうの?」と、まあ不思議そうに。このときマダムは『R』の発音を強調して舌を巻きながらの英語の発音で「フ~レ~ンチ・・・」と誇張していいました。
私は「あれ?ほんとだね。ん?なぜだろぅ。日本では、なぜ英語の呼び方なぜだろう」とモヤモヤしました。そして、今回、まだ同じ質問に遭遇したことをきっかけにして、長年放置していた疑問を解決すべく「フレンチトースト」の言葉の起源を調べることにしたわけです。
諸説あるなかで有力らしいものが見つかりました。以下のものです。
「4~5世紀ごろのローマには、ミルクにパンを浸して食べていた記述「料理書アビキウス」が残っています。このことから固くなったパンに水分を含ませて復活させる調理法Pain perduという食べ方は早くからあった」ようです。
ただ、この時点では卵を入れるようにとは触れていないのでPain perduの原形。起源としては4~5世紀が有力視されている説。
その後「14世紀ドイツ、15世紀イタリアの料理書に卵を使ったレシピの調理法が見つかっている」というので、現在のような食べ方はこの頃から始まっていたようです。
ということで、
ヨーロッパに繋がる「有力説」を見つけられたで、食べ方の発祥はアメリカではなくヨーロッパに原形があったので、マダムが不思議に思っても仕方がないルーツを見つけられました。
となると、あとは、なぜ英語なのか。
フレンチトーストはアメリカ発祥説という別の説がありまして、1724年ニューヨーク州オールバニの酒屋店主「ジョーゼフ・フレンチ」という人が名付けた食べ物だから「フレンチトースト」と呼ばれるようになったという説。なんとも、ややこしいことにお名前がフランチさん。
フランス風が由来なのか、個人名が由来なのか曖昧。 命名の箇所は明確ではないようですが、フランス風でも個人名由来でも、いずれにしても「フレンチ」という言い方の起源はアメリカ由来のようですから、調理法の起源ではなく、呼び名はアメリカ発祥みたいです。
そして、アメリカから日本に伝わった食べ物という流れになるようでした。
補足すると、当初アメリカでドイツ風「ジャーマン・トースト」と呼んでそうです。ただしかし、第一次世界大戦でアメリカとドイツが敵対したことで「ジャーマン」を「フレンチ」に変えて呼ぶことが主流になって、後に大きく広まったようです。
全てが正しいとは言い切れませんが、上記の資料を元にして私なりの仮説をまとめるならば以下のようになりました。*違うようだったら教えて頂きたい。
<フレンチ・トーストの起源>
「フランス語でPain perdu と呼ぶパンのこと。固くなったパンを復活させる食べ方=Pain perdu(フレンチトースト)のことを指す。
その起源は、ローマ4世紀~5世紀からすでに始まっていた食べ方に由来し、主にパンをミルクに浸していた手法が原点。これがのちに発展して卵も使うようになったのが17世紀ころである。
ヨーロッパで生まれた食べ方は、現在のレシピ(調理法)に近いものとなって、後にアメリカにも伝わる。当初はドイツ風またはフランス風トーストと呼ばれていたが「(フランス風)フレンチトースト」呼びが主流となって広く知られるようになった。
そのパンの食べ方が名前と共にアメリカから日本に伝わってきたことから、アメリカで名づけられたフレンチトーストとして日本には定着した」
ということになるでしょうか。
現在、世界との行き来や情報交換が容易くなり、フランス料理やお菓子も多く日本に伝わってきています。
現在は「フランス風のパン(フランスパン)」のように日本語に訳をすることなく、Baguetteはバゲット、Croissantクロワッサンとして、そのままの呼び名で受け入れられるようにもなってきています。そうなると、
フランスではフレンチトーストのことを「Pain perduパン・ペルデュという」という。このことがもっと日本で知られるようになれば、フランス語のまま「パン・ペルデュ」と言っても通じるようになって再び広まっていくかも知れないかも!? なんて色々と調べていたら
あ~「Pain perdu」 が食べたくなってしまった!
冷凍庫に食パンがあるのを思い出して「(日本風)ジャポネ・パン・ペルデュ」を作りました。 ハチミツとの相性が抜群だからレザベイユのハチミツを添えて頂きます♪
世界とつながる食べ物は、時間も場所も自由に旅をする。
これからも、色んな旅を見つけていこう♪
今日からパン・ペルデュを食べるときには、
「ローマ」「ドイツ」「アメリカ」そして「フランス」が、私の頭の中に思い浮かびそうです。
楽しく、美味しい時間に繋がることがワークショップ「ターブルドット」の趣旨です。
では、皆様も
Bon appétit et Bon week-end !